ご挨拶

 日本は世界に先駆けて超高齢化社会を迎えつつあり、2025年には65歳以上の人口が30.3%、75歳以上が13.0%に達するといわれています。この高齢化に加え近年の生活習慣の欧米化も相まって、心不全を含む心血管疾患にかかる患者は増加の一途をたどり、悪性腫瘍に次いで死因の第2位を占めています。さらに死因の第3位は、脳血管疾患を凌駕して慢性閉塞性肺疾患(COPD)が位置しております。

 興味あることに、がん、心血管疾患、COPDの間には隠れた強い関係があることもわかってきております。がんの発症率は心不全症例で2倍ぐらい高くなりますし、抗がん剤で心不全が起こることが知られています。同様に、心不全とCOPDの関係はよく知られており、心不全の合併症の中でCOPDの割合は20~30%と言われており、COPDの治療が心不全の予後を改善する可能性も考えられます。しかしながら、最近の心不全の診療ガイドラインでさえも、心不全治療に合併したCOPDの治療は推奨クラスIIa、エビデンスレベルBと記載されているのみで、より早期に治療介入することについては言及されていません。これは、COPDの適切な治療が心不全の病態に与える影響が正確に証明されていないことがその一因と考えられます。

 近年、COPDの新しい画期的な治療薬として、長時間作用性抗コリン薬/長時間作用性β2 刺激薬(LAMA/LABA)が上市されました。そこで我々は、LAMA/LABAの一つであるスピオルトを、心不全とCOPDを有する症例に投与すると、非投与群に比べて心不全の病態が改善するか否かを検討する臨床研究を計画いたしました。これは、「慢性閉塞性肺疾患を有する慢性心不全患者におけるLAMA/LABA投与による心不全改善効果の検討に関する探索的臨床試験(Comorbidity Impact Tested by the Drug Treatment of the Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease and Heart Failure on Cardiovascular Events [COPD-HF])」であり、多施設・ランダム化・非盲検・並行群間比較(試験薬投与/非投与)・探索的臨床試験として、特定臨床研究の枠組みで開始いたします。本試験の結果次第では、心不全症例でCOPDという合併症をスピオルトにて改善すれば、COPDのみならず心不全が改善することとなり、心不全の病態の解明と改善に大きく貢献することになります。ぜひ、皆様のご支援を頂戴し、本臨床研究を成功させたく存じます。本COPD-HF試験に対して、よろしくご高配賜りますこと心よりお願い申し上げます。

国立循環器病研究センター 客員研究員
大阪大学医学系研究科 招へい教授
医療法人錦秀会 阪和記念病院 統括院長・総長
北風 政史

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